先般、国土交通省は、個人を含む売買取引におけるインターネット環境を利用した重要事項説明(通称「IT重説」)について、4月にも本格運用を開始すると明らかにしました。
昨年の10月から、社会実験として、売買取引におけるIT重説が登録事業者により行われてきました。
社会実験の結果については、約9割の事業者が「トラブルがなかった」という回答となりました。
報告されたトラブルについては、「音声が聞き取れない」「画面が映らない」「インターネットがつながらない」といったものでした。
ただ、こうしたトラブルの9割超も「解決した」という結果が報告されています。
コロナ禍の影響で、非対面取引の重要性が増しています
外出自粛や飲食店の営業自粛など、コロナ感染症による影響は様々な方面に及んでいますが、不動産取引の現場においても少なくない影響が出てきています。
これまでは、不動産の売買契約、決済手続きや引渡しとなると、対面による手続きが一般的でしたが、コロナ禍の影響により、非対面・非接触での取引手法の確立が急務となっています。
これまでも、「当事者が高齢で外出が難しい」「遠方や国外居住のため出席ができない」といったケースもありましたが、あくまでも少数でしたので、「何とかして出席する方法を検討する」ということが第一の選択肢でした。
それが、「当事者が現地に不在でも手続きする方法を検討しよう」という考え方に変わってきています。
売買取引におけるIT重説についても本格運用へ
社会実験による大きなトラブルも見られなかったため、売買取引におけるIT重説についても本格運用へ移行することになりました。
今後、実施マニュアルの作成や、宅建業法のガイドラインの改正が行われていく予定です。
不動産取引の場面では、高額な取引であるため本人確認、意思確認が重要になります。
後々のトラブルを避けるため、直接お会いして、消費者の理解度を確認しながら説明することが重要、との考え方でした。
この考え方自体には変更ありませんが、IT技術の発達、特にWEBミーティングやビデオ通話の技術の浸透により、非対面でもしっかりとした説明が可能な環境が生まれてきました。
今後はさらに、IT重説や電子契約、オンライン引渡しなどの方法が浸透していくことと思います。